2022.7.21 「5年で7割辞めると言われる」歯科技工士、止まらない収入の二極化に「このままでは絶滅の危機」
歯科技工士という職業をご存じだろうか。歯科医師の指示書に従い、歯のかぶせ物やインプラントなどの作成や加工を行う技術者のことだ。国家資格が必要で、厚労省「令和2年衛生行政報告例」によると、約3万5000人が働いている。しかし、その実態について、警鐘を鳴らすのは、医療法人誠真会しげなが歯科医院事務長・技工室長の重永応樹さんだ。「このままではなり手がいなくなる」と危機感を募らせる。その理由とは?(取材・文=水沼一夫) 虫歯の治療に欠かせない金属やセラミック。その製造・加工を任される歯科技工士が過酷な労働環境に置かれている。 「今、歯科技工士は5年で7割辞めるとも言われています。労働環境もあるし、報酬面の問題もある。技術者のメイン世代は40代後半~60代。年々なり手が減少し、このままでは絶滅の危機と言わざるを得ません」 重永さんは、20歳で歯科技工士の資格を取り、現場で25年以上のキャリアを持つ。これまで1万5000人以上の患者に携わってきた。なぜ今、この業界の離職率が高いのか。 「離職率が高い技工士さんは、保険治療対象のつめ物やかぶせ物、入れ歯などを作る人。時給換算すると、コンビニ店員より安い人もいます。他方、全体の10~15%のセラミックやインプラントを作っている人は比較的仕事を続けていく収入は得られている」 金属やセラミックの技工物は、一つ一つがオーダーメードで作られる。模型から完成までの工程は、いずれも非常に手間がかかる作業である。しかし、金属のつめ物やかぶせ物は1個あたりに歯科技工士が手にする収入が「1500円ぐらいから3000円ぐらい」と抑えられている。そのため、どうしても数をこなすことになり、「多くの技工士さんは1日10~15本作っている。金属以外の材料や器具機材などは自腹なので、取り分はかなり少ない」という。技工士全体のなかで、個人事業主は過半数と割合が多いため、制限なく働きがちで、「実態はかなりブラックです。圧倒的な長時間労働に陥っている方が多い。私が若いころは週末など徹夜が当たり前だった」と、話す。
「5年で7割辞めると言われる」歯科技工士、止まらない収入の二極化に「このままでは絶滅の危機」(ENCOUNT) – Yahoo!ニュース
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